ハードルの高い「美術館」

先日の長期休暇の際、「イサム・ノグチ庭園美術館」という場所に行ってきた。


香川県にある美術館なんですが、

これがまあ、なんとも「不便」で「時代遅れ」な美術館でした(ディスじゃないです)。


まず、完全予約制。

火、木、土しかやってない(週休4日)。

見学は1日3グループまで(1グループ20人くらい)。


しかも一番驚いたのが「往復葉書」で申し込まなくちゃいけないという。


鑑賞希望日の2週間くらい前に往復葉書を送ると、

「予約OKです」みたいな返信がやってくるシステムです。

で、無事に自分の希望が通ったので、いざ美術館に行ったわけですが、


結論、めちゃくちゃいい場所でした!


写真を交えてどんな場所か紹介したかったんですが、

まさかの、写真オールNG!


作品を撮っちゃダメとかならわかりますけど、

庭園の様子だとか、そこから見える山々などの風景なんかも撮影しちゃダメと。


いまの時代に「マジか!」って感じです。


だもんで、公式から写真をお借りしました。こんな場所です。

めっちゃ神々しいでしょ。


写真NGに関しては、要するに著作権保護のためということなんですが、


イサムは「大地」そのものを彫刻の素材と捉え、

そこから見える景色さえも「彫刻がつくり出した一部である」

という考えがベースにあるからなんだそう。


なんかスケールでかい。


そのコンセプトのもとにつくられたのが、札幌の「モエレ沼公園」で、

観光地としてもけっこう有名ですね。

ひと通り学芸員さんがツアーをしてくれまして、最後は自由解散に。


時間が余っていたので、学芸員さんと雑談してたんですが、

なぜこの美術館が「不便」で「時代遅れ」なシステムなのか、その理由がわかりました。


開館日が少なかったり、見学人数を少なくしてるのは、

むしろそれ以外の時間にめちゃくちゃやることがあるからなんだとか。


つまり、この静謐な空間を保つために、ほとんどの時間と労力を費やしているのだそう。

確かに庭園を歩いていても、葉っぱひとつ落ちてないですし、

砂利道にも足跡ひとつありません。


よくよく考えてみるとめっちゃ大変なことだな。。


そこらへんに転がっている岩のひとつにしても、

すべてイサムが置き場所を指示して、いまのような空間が成り立っているんだとか。


その場の空気感までもアートディレクションしてる感じ。


そういった理由から、申し込みを往復葉書にしてハードルを上げるなど、

上質な来場者に来てもらう工夫をしてるってことみたいです。

ちょっと不便ではあるんですが、

少しでもイサムとかに興味ある人ならぜひ行ってみてほしい場所ですね。


M島

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